紅茶の効能

紅茶の主な成分

タンニン(カテキン類)

タンニンは紅茶の味や水色を作るものです。タンニンはどの植物にも含まれているもので、味としては渋味の部分を占めます。お茶類の中では、紅茶が最もタンニンを多く含みます。タンニンはエピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレードの3つのカテキン類から成っていて、これらは紅茶の味、色、香りに大きな影響を与えています。

カフェイン(プリン塩基)

カフェインについてはよくコーヒーと比較されますが、1g当たりで比較すると紅茶の方が多く含まれています。でも一人当たりに使う量が、コーヒーは紅茶の約3倍なので、カップ1杯の摂取量は紅茶の方が少なくなります。しかしこれは少なければいいという問題ではなく、むしろどういう効果があるかということの方が大切です。人体に対しては、中枢神経の刺激、強心、利尿効果の3大要素があり、薬理効果の大きさが注目されます。

アミノ酸

うま味の部分です。アスパラギン、アルギニン、グルタミン酸、テアニンなどが含まれます。

ビタミン類

ビタミンCは含んでいませんが、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンPが含まれています。特にAに属するカロチン、B群のB1、B2、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチンなどが多量に含まれています。ビタミンPの中にはポリフェノール化合物があり、血管壁の強化作用や、高血圧の予防に効果があります。

こんな宣伝もされた紅茶

中国ではもともと薬として珍重された紅茶は、イギリスでもコーヒーハウスやティーハウスで、宣伝用としてその効果が用いられました。例えば1660年、紅茶を初めてロンドンで売り出したトーマス・ギャラウェイは、店内に次のような宣伝文句を掲げました。

茶は体を温め、年をとっても健康を維持する飲み物で、たくさんの効用があります。

(1) 頭痛、めまいをなくす。
(2) 体の強壮に役立つ。
(3) 成長効果があり、消化不良を治す。
(4) 肥満を防ぐ
(5) 視力をよくする
(6) 風邪を予防する
(7) 頭脳をやすめ、記憶力をよくする
(8) 泌尿器を洗浄し、腎臓結石に効く
(9) 虫歯を予防する

当時扱われていたのはまだ緑茶が中心でしたが、中国の茶が紹介されてまだ間もないというのに、すでにこんな効果がたくさん紹介されていました。それから300年経った今でも、カフェインやタンニン(カテキン類)の研究は続けられ、より確実な効果が発表されています。

紅茶に含まれる成分の効用

では実際に紅茶の各成分にどのような効用があるのかを具体的な例をあげて説明します。

ガンの予防

タンニン(カテキン類)は、突然変異を起こしてしまった細胞が悪性の腫瘍に進むのを防ぐ。

動脈硬化・高血圧の予防

タンニン(カテキン類)の中のエピガロカテキンガレードには、血液中のコレステロールの濃度を下げる働きがあります。

老化を防ぐ

タンニン(カテキン類)の強い抗酸化作用により、ビタミンC、E類と同等、またはそれ以上の効果を持っています。

糖尿病

タンニン(カテキン類)が、ブドウ糖の摂取から起こる血糖値の上昇を抑える。

殺菌と解毒

タンニン(カテキン類)がチフス菌、赤痢菌、コレラ菌、腸炎ビブリオなどの病原菌を死滅させたり、繁殖を抑える。また人体に有害な金属類と結合して対外にだす。

風邪の予防

紅茶でうがいをすると、タンニン(カテキン類)やテアフラビンがインフルエンザ・ウイルスを不活性状態にする。

消化機能を活性化する

カフェインやタンニン(カテキン類)は、胃壁の緊張を高め、胃腸の分泌を促し、食欲を高める。腸炎の症状を軽くする。

虫歯を防ぐ

フッ素が虫歯菌を死滅させ、虫歯を予防する。

利尿作用

カフェインは新陳代謝をよくし、利尿効果を促し解毒効果があります。

疲労回復

カフェインは神経を適度に興奮させ、疲労感を軽減させる。

思考力を増す

カフェインが大脳中枢を刺激し、思考力を増す。

肥満防止

タンニン(カテキン類)が皮下脂肪をエネルギーに変え、グリコーゲンを保持しておく。スポーツドリンクに最適。


紅茶に含まれる成分にこれだけたくさんの効用があると、紅茶が万病を治す神秘薬だと信じられて来た事もうなずけますね。
スリランカでは現地の人達は日常的に、風邪や下痢に飲用したり、擦り傷や切り傷には紅茶を塗り、止血するにも使ったりするそうです。
また肥満を気にしている人にとっては、紅茶の成分が皮下脂肪をエネルギーに変えていくわけですから、紅茶を飲んでから運動すれば痩せやすくなるという事になります。
ラットの実験でも効果が出たそうですが、ただ飲めばいいわけではありません「紅茶を飲みながら体を動かす」ことが重要です。